2017年 07月 12日 ( 1 )

ある日の読書『山の音』

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山の音  川端康成


鎌倉在住の知人が今年、「公益財団法人川端康成記念会」の理事に就任しました。
就任になられた記念に、川端康成ものを一冊読んでみました。

川端康成は、没年まで鎌倉長谷に居住し、「山の音」はじめ、
多くの作品の中で、鎌倉を描きました。
日本初のノーベル文学賞受賞であり、初の鎌倉名誉市民です。

日本を代表する小説家ですが、ワタシはまともに「川端康成」を読んだ記憶がありません。
「雪国」や「伊豆の踊子」は、あまりに有名で、
読まなくてもある程度のストーリーは、誰もが知っているというものです。




「山の音」の主人公は62才の男性。

けっして良いとはいえない体調や、ときどき現れるもの忘れ。
かつての同僚や学生時代の同期の訃報も多く、
漠然と死への不安を抱えている。

長男夫婦と同居。
長女は子供を連れて出戻り、家族が7人となる。
お嫁さんの菊子さんを、娘よりもを可愛がっている。

戦後まもなくの話なので、今から6、70年前のことではあるけれど、
62才の「老人化」が、現代と比べて甚だしいのだ。
あのころの平均寿命は何才なのだろう。
すっかり終活気分の主人公である。

中盤まで「なんかつまんないな」と、なかなかページも進まなかったけれど、
次第に、じわじわ沁みてきます。
家族それぞれのいびつな心理描写が、面白くなってなってくるから、あら不思議。

ワタシごときを、読後に「う~む。」と唸らせることなど、
川端先生には、赤子の手をひねるようなものでしょうけれど。(笑)



この文庫を読むのに時間がかかったのは、文字の小ささもありました。

図書館で借りた新潮文庫は昭和55年に出版されたもので、
文字は小さいは行間は狭いは、紙は黄ばんでるはで、
今の文庫と比べると、けた外れに読みづらいのです。

ちょっと調べてみたのですが、

現在の新潮文庫が使用している文字は、
9.25ポイント。
文庫でも文字の小ささは気にならず、読みやすいですよね~。

昭和57年までは、8ポイントが標準で、
なんと90年前に至っては、7.5ポイントという小ささ。

先代の人たちは、それが「当たり前」とはいえ、
本を読むにも、一苦労だったと思うと、頭が下がりますね。



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黄ばんで、年代を感じる「山の音」

今書店に置いてる新潮文庫と比べてみると、その小ささにビックリしますよ (@_@)



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by ukico32744 | 2017-07-12 18:00 | ある日の読書 | Comments(10)