2017年 08月 28日 ( 1 )

ある日の読書「月の満ち欠け」

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月の満ち欠け  佐藤正午


157回直木賞受賞作です。
芥川賞は新人作家のためにあるけれど、直木賞は新人、ベテラン関係なく選ばれるもの。
佐藤正午さん、デビュー34年目にしての受賞です。

ご本人は、嬉しいことには間違いないでしょうが、この受賞で何かが変わることはなく、
変わると言えば、取材でたくさんの人に会わなければいけないという、
厄介なことが増えたな、くらいなことかもしれません。

北海道大学中退し、いろいろ人生経験踏んで、今は故郷の長崎で執筆をしている佐藤さん。
気難しく、可笑しく、マイペース、そんな印象の作家さんです。

作品を発表する感覚が長いので、”筆を折った!?”が頭によぎるころ、新作が出ますね。





「瑠璃」または「るり」という名の女性が、数人登場するこの作品。

ひとりの「瑠璃」は、結ばれることのない恋人との会話の中で、
「わたしは死んだら生まれ変わって、またあなたの前に現れる。
わたしは月のように死んで生まれ変わるの」
そんなことを言ったのだった。
その一週間後、瑠璃は電車事故で亡くなってしまう。


また、ひとりの「瑠璃」は、7歳になったとき原因不明の高熱後、異変が起こる。
急に大人びた態度になり、昔の流行り歌を口ずさんだり、知り得ないことを語り出す。


樹木のように朽ち果てる最後ではなく、
月の満ち欠けのように、何回も生まれ変わることを強く望んだ瑠璃の魂が、
巻き込まれた人たちの運命を飲み込んでいくようだ。





佐藤氏の作品でなければ、ただの薄気味悪い、ソフトホラー小説に成り下がりそうな、このお話ですが、
見事な心情描写・背景描写に、ただただ引き込まれました。

お盆に一気読みの小説でした。

お盆に読む小説ではないかぁ。。と後から思いましたけどネ。(*_*;





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by ukico32744 | 2017-08-28 20:00 | ある日の読書 | Comments(2)