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ある日の読書『六月の雪』

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六月の雪  乃南アサ


~入院した祖母を元気づけるため、32才になった未来は、祖母の生地である台湾の古都「台南」を訪れる。
優しくてなぜか懐かしい国。
そこで未来は、戦前の日本人の涙と無念を知り、台湾人を襲った悲劇に驚く。

そして、ようやくたどり着いた祖母の生家は。。~


本の帯に書いてあったストーリーの骨組みは、このようなことなのだけど、
この小説の芯の部分を読み取るのは、けっこう読力が要ると思いました。

おばあちゃんのルーツを探しながら、そしてそれが未来自身の「自分探し」にもなった。。
という落ち着きかたでは、なんか作家さんに申し訳ないような理解度かなと。

台湾で出会った人たちは、良くも悪くも生きることにエネルギッシュで、
生命力に湧いたひとたちである。
それに対比するように、日本にいる未来の祖母は、静かに生きる活力を下降させていく。
未来から届いたスマホ写真の「六月の雪」を見て、祖母は忘れていた遠い青春が蘇り、
一瞬命を輝かせるのだけど、もうそれで充分だと、心で終末を願う。

祖母が見たいと言っていた、台南の6月に咲く白い花「欖李花」(ランリーファ)を探し当てた場面は
この小説で一番好きな場面だ。
小説の中盤辛い場面が登場し、読む気持ちが削がれてきたところに、この一節が出て来てくるので、
それはファンタジーのような世界に感じた。


.....................................


乃南アサさん、女刑事音道貴子シリーズが好きで、以前はよく読みました。

今は、下調べが膨大と思われる、スケール感ある小説をお書きになってるみたいで、
これから読んでみたい作家さんです。

「六月の雪」も数年にわたる準備期間を経て、満を持しての執筆だったようです。

台湾通としても知られてます。風景はとても詳しく、食べ物はとても美味しく書かれているので、
そこも注目の小説ですが、
台湾に興味があるだけで読んでいくと、落とし穴にスコンと落ちちゃう小説でもあります。









by ukico32744 | 2018-12-28 12:00 | ある日の読書 | Trackback | Comments(14)
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Commented by M at 2018-12-28 12:33 x
今日は全道的に冷え込みましたね。
稚内は氷点下7度です!急に温度が下降したので体にこたえますね。

この装丁は、水彩画かなぁ?なんかタッチがいいですね。
おばあちゃんの生家を訪ねて台湾へ行く話なんですね。
台南の6月に咲く白い花「欖李花」(ランリーファ)を六月の雪としてるのですね。
ほぉ、ひとくせありそうな内容ですね!
Commented by downhill50 at 2018-12-28 14:44
ukicoさん
こんにちは。私も乃南アサさんは、推理作家のイメージで
音道貴子シリーズはほとんど読んだと思います。
今作は、私のように斜め読みをすると、とても作品の奥深さには
たどり着けない作品ですね💦
台湾て、一時期ご縁があってよく訪れたのですが、確かに
人が元気な気がします。

さて、今年一年大変お世話になりました。何度も勇気づけて
いただきました。ありがとうございます。
来年がukicoさんにとって素晴らしい年になりますように!
Commented by ukico32744 at 2018-12-28 15:13
> Mさん、
ほんとに!日本列島が冷蔵庫で、北海道は冷凍庫になっちゃいましたね。
今も吹雪いてますか?
こちらは朝8時くらいまでは酷かったけれど、今は晴れてますが、放射冷却が
凄いです。
この本の装丁の絵、主人公が台湾の案内してくれる女の子とバイクに二人乗りして、
ランリーファの咲くところに行く場面です。
この女の子、とってもいい子だったのに最後が切ないのです。。ポロリ(;_;)
Commented by ukico32744 at 2018-12-28 15:32
> downhillさん、
音道貴子、かっこよかったですよね~。
わたしもほとんど読んでます。
乃南さんの中では、音道貴子はもう昇華されちゃったのでしょうかね。
この小説は一癖、いやふた癖ぐらいあるかな?
思わぬ方向に行きかけて、ちょっとどーなるのよ~って場面があるのです。
「清」と「毒」、両面持ってるので、好き嫌いがある小説かもしれないです。
斜め読みぐらいで丁度いいですよ。
わたしもそんなに深読みしてないので、読みました、チャンチャンで締めちゃいます(笑)

こちらこそ来年もどうぞよろしくお願いします!
downhillさんの来年のご活躍が楽しみです。
遠くから、拍手パチパチで見守ってますよ。
Commented by miqu_7cd at 2018-12-28 17:10
地の果てから~読みました?
夫の不始末で東北から逃げるように知床の奥地に開拓者として
移り住んだ夫婦の物語です。(簡単に言ってしまえば~ですが)

この物語が好きで、手元に置いて何度も読んでいます。

「6月の雪」も面白そうですね、という単純ではないのかな?(笑)
でも、ルーツ探しは好きなので読みたい虫がむずむずしてきました。
Commented by ejichan555 at 2018-12-28 17:15
これは読んでみたいですねえ。
タイトルだけで、うろたえることが多くなりました。
想像のしすぎかな。
Commented by kojiroumam123 at 2018-12-28 18:06
これまた、ドラマになったら観たいですね。
UKIさんの読後感想文を読んだだけで、
興味あります・・読めば良いのにね(^_-)-☆
Commented by ukico32744 at 2018-12-28 21:07
> ミズキさん、
「地の果てから」、知床が舞台のこの小説、読みたいと思ってたんです。
「上下巻」で読み応えありそうですね。
乃南さん、わたしの中でブーム再来かも、です。
「六月の雪」は、面白いと感じるか、なにこれ?って感じるかは、もうひとそれぞれ
ですね~。
家族三世代に関わるお話しなので、興味があれば読んでみてくださいね。

Commented by ukico32744 at 2018-12-28 21:12
> エジちゃんさん、
「六月の雪」、タイトルはイケてますね。
うろたえるとは、面白い表現(笑)
でも、なんとなくニュアンスわかりますよ。
ネットで六月の雪といわれるランリーファを見て見たら、南国風の可憐な花でした。

Commented by ukico32744 at 2018-12-28 21:24
> こじろうママさん、
これ、ドラマにするとお話をだいぶテレビ用に変えないと、かなりエグい部分が
あるんです。(^^;
「おばあちゃんのルーツを探す旅」だけに済ませると、ドラマ化できるかな。
ストーリーにいろいろ肉付けされてる部分が、この小説の魅力だったり、
摩訶不思議な部分なんですよ。




Commented by olion3754cona at 2018-12-29 11:13
読力と理解力が必要な小説なのですね。
人間の深いところをついているのでしょうね。
乃南さんの著書、「いつか陽の当たる場所で」が好きで
三作読みました。三作目の「いちばん長い夜に」は仙台を舞台に書いているので、
書く前に仙台に取材に来てその場で大震災にあいました。
その時の経験を主人公のはこが経験したこととして小説になってますね。
Commented by ukico32744 at 2018-12-29 16:08
> シェルさん、
このシリーズものも面白そう。興味あります。
早速図書館へ行ったら、今日から休館でした。トホホ…勇み足です(>_<)
小説の取材途中で、乃南さんは仙台で震災に遭ったのですね。
ご自分の体験を登場人物の体験として小説に組み込むとは、リアリティが
ハンパないかも!
乃南さん、しばらくマイブームかもしれないです。

Commented by purikitirox at 2018-12-30 20:45
ukicoさん、樹木希林さんの本、読みたいです!
昔に比べたら、断然肩の力を抜いて生きていますが、もっと抜けるのかなあと思ったりしながら生きています。
来年もどうぞよろしくお願いします。
Commented by ukico32744 at 2018-12-31 07:24
> NOEMIさん、
希林さんの本、面白かったですよ。
希林さんの発する言葉には、チカラを抜きながらも、意志の強さが伝わってきますね。
緩急つけながら、生きてきたかたなのだと思いました。

こちらこそ、来年もどーぞよろしく!
良いお年を♪


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