2018年 02月 15日 ( 1 )

ある日の読書『千の扉』

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千の扉   柴崎友香


新宿の街の中にある広大な都営団地。
老朽化、高齢化した団地は、何千の人が住むというのに、
人の気配を消したように静かだ。
「千の扉」は、その団地の重い鉄の扉。



千歳は、たいして親しくもない一俊にプロポーズされ、
広大な都営団地の一室に住むことになった。
その部屋で、一人暮らしをしていた一俊の祖父から、
千歳は人捜しを頼まれる。

のらりくらりの千歳の人捜しは、いろいろな人の人生をかすりながら、
往きつくところに往きついたのだった。



自分が日々思ってることは、取るに足らないことで、
他人に話すまででないことがほとんどだ。

実は、その取るに足らないことが、自分の心の核の部分だったりする。

この小説の登場人物は、おしなべて皆そうである。

家族だから友人だから、何もかも洗いざらい話すものとは限らない。
だからこそ、あえて話さないという場合もあるのだ。

この小説に出てくる、自分表現がヘタな、ちょっと可笑しく悲しい人たちの、
心情がとてもよくわかる。

わたしもそうだから。



好き嫌いのふり幅が、かなり大きな小説と思う。

70年という歳月の時間軸が、あっちこっちと飛んでるので、
内容がつかめるまで手こずったりもする。

でも、わたしはかなり「好き」なほうに入る小説です。

主人公千歳の、のらりくらりの具合が好ましくて、
途切れ途切れの話が繋がっていく後半は、もう好き過ぎるくらい。



柴崎友香さん、ググってみると2014年の芥川賞を取られていた。

俄然、このかたの小説を読みたくなったものよ。!(^^)!







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by ukico32744 | 2018-02-15 22:15 | ある日の読書 | Trackback | Comments(12)