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ある日の読書『仕事にしばられない生き方』

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仕事にしばられない生き方  ヤマザキマリ


ヤマザキマリさん、映画『テルマエ・ロマエ』の原作者で知名度全国区になりましたが、
わたしがヤマザキマリさんを、初めて知ったのは、今から20数年前、
北海道のローカル番組のレポーターをしていた時でした。

ちょっと口は悪いが語り口調が独特で、ともかく見てて面白い。
カラダ全体から、パワーを発してるようで、発電機みたいな人だと思ったのを覚えてます。

この本にも書かれてますが、その頃マリさんは、テレビのレポーターのほかに、
日伊協会に勤めながらイベントの企画発案の仕事をしたり、イタリア語の個人レッスンの先生をしたり、
イタリアに詳しい人として札幌で有名になると、大学でイタリアの歴史文化の講師に招かれたり、
「二足のわらじ」ならぬ、「10足のわらじ」生活をしていたという、
まさに札幌の町を飛び回っていた時期なのでした。

マリさんは17才でイタリアへ絵の勉強に行き、詩人と恋に落ち、極貧生活の末に子を産み、
その子と新しい生活を築くために、日本へ帰ってきました。
マリさん、28才の時です。

とにかく自立するために、その時々、自分にできることは何でもやってみようとした結果、
マリさんの今までの経験値が、大いに身を助けることになりました。

絵画の勉強をしていて、漫画家になることは本望ではなかったが、
子供を育てるため、自立するために漫画家になった。
それが「テルマエ・ロマエ」に繋がり、今や世界を飛び回る
グローバルな文化人です。

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マリさんの「転んでもただは起きぬ」の性格はイタリア時代に鍛えられたものもあるけれど、
マリさんの母親のDNAをしっかり受け継いだものです。

マリさんの母「量子」さんは、シングルマザーで、札響(札幌交響楽団)ヴァオラ奏者でした。
札響の初の女性団員として入団するため、誰一人知る人のいない北海道へ
幼い二人の娘を連れて移り住んだのでした。

そのお母さんのことは、本書の一番最初に登場しますが、
”この母にしてマリさんあり”を納得させられるエピソードが綴られてます。
昭和40年代後半、この母娘はかなり世間から浮いていたことでしょう。
そして、随分先の時代を突っ走っていたのだなぁと、感心します。


サクセスストーリーでも、成功するための手引書でもない。
ましてや、ドリームカムトゥルー! いつか夢は叶うよ!のものでもないです。
マリさんが、実はあまり語りたくなかった体験までも披露して、
ちょっとでもヒントになったらいいね、と、笑って、時に真面目に語ってる。
そんな感じで読めました。



マリさん、先週の「サワコの朝」のゲストでした。




マリさんのお母さん「リョウコさん」のことを書いた本が出ます。
これも面白そう。
早速図書館にリクエストしましょう♪


ヤマザキマリさんは、エキサイトのブロガーさんです。(*^^*)




by ukico32744 | 2019-01-22 21:25 | ある日の読書 | Trackback | Comments(4)

ある日の読書『海街diary9 完結編』

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海街diary9 ~行ってくる~  吉田秋生

2019年初めの読書録は「海街diary」です。
漫画なんですけど、近ごろはストーリー性のあるしっかりした漫画が多くて、読み応えありますね。
「海街diary」もそう。
1巻から、ずっと胸をときめかせて読んでました。
途中、是枝監督で映画化され、カンヌ映画祭へ出品され、
長年の「海街」ファンとしては、とても誇らしい出来事もありました。

その「海街diary」が9巻で、とうとう完結しました。

中学一年生のすずが、鎌倉にやって来たのは夏の終わりで、蝉しぐれがやむ頃。
中学を卒業したすずは進学のために、梅の咲き始めたころ他県へ行くのでした。
「行ってくる」と云えるのは、いつでも帰る家があるから。
家族という物語は、永遠に続くものだけど、ひとまずここで、という終わりかたです。


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今日の雪の降りようは、ハンパない感じ。

朝起きたら、そこは豪雪地帯。

除雪・排雪の車も、追いつかないでしょう。今日は早朝勤務でなくて助かりました。

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雪が止むと、白い町が浮かび上がります。

明日は早朝勤務。どーか、雪が積もりませんように。。



遅ればせながら、2019年、blog活動開始します。

今年もまたよろしくお願いいたします。(^-^)





by ukico32744 | 2019-01-07 22:20 | ある日の読書 | Trackback | Comments(16)

ある日の読書『一切なりゆき ~樹木希林のことば~』

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一切なりゆき ~樹木希林のことば~  樹木希林

今年最後の読書録は希林さんの本です。
希林さんが発した言葉の数々が、一冊の本になるなんて、
希林さん自身が、「あら、まぁ」って、上の方で苦笑してるかもしれませんねぇ。

「一切なりゆき」、いい感じで肩の力が抜けますね。
良くも悪くも成り行きに添う。
わたしのこれからの座右の銘にしたいわ。(^^;

一生懸命の裏には「成果」を求めすぎなところがあるけれど、
成り行きには「成果」を求めないし、まして、それで成果があったなら御の字ですから。

今年のわたし、まさしく成り行きで介護職となり、
それはそれで正解だったな、と感じる年の瀬です。


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今回が今年最後の更新とします。

今年一年お付き合いありがとうございました。

お正月気分が抜けるころまで、blogから離れてみようと思います。
お気に入りの皆さんのblogにお邪魔するのも、少しの間お休みいたします。

それでは、みなさん良いお年を‼





by ukico32744 | 2018-12-29 18:00 | ある日の読書 | Trackback

ある日の読書『六月の雪』

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六月の雪  乃南アサ


~入院した祖母を元気づけるため、32才になった未来は、祖母の生地である台湾の古都「台南」を訪れる。
優しくてなぜか懐かしい国。
そこで未来は、戦前の日本人の涙と無念を知り、台湾人を襲った悲劇に驚く。

そして、ようやくたどり着いた祖母の生家は。。~


本の帯に書いてあったストーリーの骨組みは、このようなことなのだけど、
この小説の芯の部分を読み取るのは、けっこう読力が要ると思いました。

おばあちゃんのルーツを探しながら、そしてそれが未来自身の「自分探し」にもなった。。
という落ち着きかたでは、なんか作家さんに申し訳ないような理解度かなと。

台湾で出会った人たちは、良くも悪くも生きることにエネルギッシュで、
生命力に湧いたひとたちである。
それに対比するように、日本にいる未来の祖母は、静かに生きる活力を下降させていく。
未来から届いたスマホ写真の「六月の雪」を見て、祖母は忘れていた遠い青春が蘇り、
一瞬命を輝かせるのだけど、もうそれで充分だと、心で終末を願う。

祖母が見たいと言っていた、台南の6月に咲く白い花「欖李花」(ランリーファ)を探し当てた場面は
この小説で一番好きな場面だ。
小説の中盤辛い場面が登場し、読む気持ちが削がれてきたところに、この一節が出て来てくるので、
それはファンタジーのような世界に感じた。


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乃南アサさん、女刑事音道貴子シリーズが好きで、以前はよく読みました。

今は、下調べが膨大と思われる、スケール感ある小説をお書きになってるみたいで、
これから読んでみたい作家さんです。

「六月の雪」も数年にわたる準備期間を経て、満を持しての執筆だったようです。

台湾通としても知られてます。風景はとても詳しく、食べ物はとても美味しく書かれているので、
そこも注目の小説ですが、
台湾に興味があるだけで読んでいくと、落とし穴にスコンと落ちちゃう小説でもあります。









by ukico32744 | 2018-12-28 12:00 | ある日の読書 | Trackback | Comments(14)

ある日の読書『鎌倉の家』

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鎌倉の家  甘糟りり子

この表紙の和柄が素敵ですねぇ。千代紙の柄だそうです。


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鎌倉は多彩な魅力を持つ古都です。
名刹・古刹のほか、武家の古都としての文化・美術の数々や
起伏に富んだ谷戸の豊かな自然や、これぞ「湘南」の海辺の賑わいや。

それぞれの魅力の総合力で、「鎌倉」が成り立ってると思うのですが、
もう一つ、そこに住んでいる人たちの、文化的な感覚の豊かさを感じる町です。


甘糟りり子さんは、3才の時に鎌倉へ越してきました。

雑誌編集者であった父と野草料理研究家の母は、家族で住む「家」をことさら愛し、
こだわりをもって「暮らし」を楽しんでいる様が、この本には詳しく書いてあります。

りり子さんの「たおやかな暮らし」の土壌は、両親から受け継いだものに間違いなく、
この暮らしを大切に繋いでいくことや、
鎌倉という町への愛着がしみじみと伝わる、とても上質なエッセーと思いました。

住んでみなければ、その土地の本当の良さはわからないのでしょう。
そういう意味では、いくら鎌倉が好きでも、わたしは旅人以上にはなり得ませんね。



by ukico32744 | 2018-12-17 18:15 | ある日の読書 | Trackback | Comments(18)

ある日の読書『どこでもない場所』

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どこでもない場所   浅生 鴨


このかた、ぜんぜん存じ上げなかったのですけど、ラジオ番組にゲストで出演されていたのを聴き、
なんか面白そうな人と、頭にインプットされたのでした。

浅生 鴨さんは、「あそうかも」と読みます。
「あ、そうかも。」が「あそうかも」になったという、なんともふざけた名前。
もちろんペンネームです。

浅生さんは、2014年までNHKに在籍していて、「週刊子どもニュース」の演出などしてたようです。
また、NHK公式Twitterの広報ツィート担当として、
NHKらしからぬ、ゆるいつぶやきが人気となったそうですが、
そんなこと、知らぬ存ぜぬのわたしです。

今のお仕事は、小説やエッセーを書いたりの自由業なのですね。
型にはまることが苦手にしてるような、
本を読んで、そんな気がしました。

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「どこでもない場所」はエッセーなのですが、やはりここでもゆるい語り口。

学生時代の迷い、旅先や仕事での迷い。
このエッセーの核心は「迷い」なのです。

あ、ここにもこじらせ男子がいた!というのが、第一感想。

図らずも、こじらせ男子の読み物が続きました。

こじらせ男子たちの、迷走エッセーが今面白いです。


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明日から二泊三日で鎌倉へ行ってきます。

鎌倉から、短いblogを時々発信していきますね。(←多分) (^^ゞ


by ukico32744 | 2018-11-28 21:05 | ある日の読書 | Trackback

ある日の読書『ナナメの夕暮れ』

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ナナメの夕暮れ  若林正恭


自意識過剰、人見知り、社会不適応と難解な自分分析に苦悩する、
典型的なこじらせ男子の若林くん。

そんな若林くんも、40才のおじさんになったという。

おじさんになって、「生き辛さ」から解放された。
「自分探し」はこれにて完結!

と、表紙に書いてある。

持って生まれた性格を克服したわけでは無さそうだけど、
これだけテレビで活躍し、本が売れてるということは、
自分が世間に認められている、という自信になってるのは確か。

社会での立ち位置をちゃんと確立した若林くんが、「生き辛い」などと言ってるのは、
今本当に生き辛さに悩んでいる人が、鼻白むことをちゃんとわかっているのでしょう。

こじらせ男子が、こじらせおじさんになるのは、若林くんの流儀では
カッコ悪いことなのです。

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若林くんの書いた、キューバ旅行記「表参道のセレブ犬とカバーニャ要塞の野良犬」が、
目からウロコ的な面白さがあったものだから、この新刊エッセーも興味深く読んでみたのです。

なんていうか、このエッセーは若い人が読んで共感するものなのだわ、というのが第一感想です。

劣等感から来る自己否定を、世間に揉まれながら折り合いをつけて、
なんとか自己肯定にもっていく過程は、わたしにはもう通り過ぎてきた道なのよね。

40才で完結した若林くんは、上等じゃないの⁉と思ったオバサンなのでした。



by ukico32744 | 2018-11-22 22:30 | ある日の読書 | Trackback | Comments(10)

ある日の読書『イトウの恋』

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イトウの恋  中島京子

わたしの数少ない手持ちの1冊です。
持っているってことは「かなり好き」な小説ということです。
再再読くらいですかね。久しぶりに読んでみました。



先日ブロ友さんがblogで「日本奥地紀行」を紹介していました。

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明治維新間もない頃に、イギリス人女性研究者イザベラ・バードが
日本の奥地を旅をして記録したもの。

西洋人を見たこともない人たちが住んでいる奥地に入るため、
日本人案内兼通訳として、青年「伊藤」を雇い、東北・北海道を見聞した記録は
西欧との条約改正交渉にも影響を与えたのではないか、とも云われています。


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あ、イザベラ・バードだ!

わたしの知ってるイザベラ・バードは、「イトウの恋」のイザベラ・バードなのでした。


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中島京子さんの「イトウの恋」は、イザベラ・バードと青年イトウのお話です。


新米中学校教師久保が、実家の納戸に埃を被って置かれていた、曽祖父の古いカバンの中から、
古い手記を見つけます。
それはイトウ自身が書いた自分の半世紀なのでした。

久保はイトウの孫の娘にあたる人気劇作家を捜し出し、
顧問の郷土部の部員を巻き込みながら、古い手記の謎解きを始めます。

物語は現代と明治を、
また、ノンフィクションとフィクションを交差しながら、ドラマチックに動きますが、
結末はじんわり波紋が広がるような静けさ。

この小説、イザベラ・バードの人間性や、若いイトウの情熱部分のイメージを壊すことなく、
ストーリーの肉付けがスケールを大きな小説にしています。

紀行ものとしても、ラブストーリーとしても、謎解きものとしても、
どの角度からも楽しめます。

何度目かでも、毎回面白さに感動できる小説です。

面白い!って、小説には重要ですね。


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実はイザベラ・バードと通訳伊藤のお話は、まだあるのです。

「ジャーニーボーイ」

まだ読んでませんが、この小説も是非読みたいです。


by ukico32744 | 2018-11-13 19:32 | ある日の読書 | Trackback | Comments(22)

ある日の読書『一度だけ』

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一度だけ  益田ミリ


ひな子と弥生は、独身アラフォーの姉妹である。
派遣社員と介護職のふたり。
現実は未来予想図とは違い、厳しいものだけど、
理想の生活を捨てたわけではないのだ。

ひな子はリッチな叔母のお伴でブラジル旅行に出かける。
弥生は、ひな子の旅行中の間に、毎日ひとつ、新しいことをやってみようと試みる。

それぞれ非日常を味わう一週間である。

一週間の、ちょっとした冒険で、二人は気持ちのバージョンアップをしたようだ。

ままにならないことも多々あるけれど、今ある日常を受け入れ、
その日々を愛おしいと思わなければ、苦しい顔つきの自分と、
毎日戦わなければいけない。
現実をしっかり踏みしめた先に、何かが待ち受けていることがあるのだから。

というような感情へシフトするのは、バージョンアップと言ってあげたいね(笑)

二人の母親は誰に相談するでもなく、60代にして、スルリとやりたかったことを成し遂げる。
コツコツ貯めた「へそくり」が、役に立つ時が来た。(^-^;

「満を持して」って言葉があるけれど、潮が満ちる時は人それぞれなのだ。

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二日くらいで、サラサラ読めた本です。

ミリさんの、心理をあまり深く掘り下げない、あっさりした文章が好きなのです。


















by ukico32744 | 2018-11-09 10:00 | ある日の読書 | Trackback | Comments(12)

ある日の読書『ののはな通信』

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ののはな通信  三浦しをん


三浦しをんさんの小説では「まほろ駅前多田便利軒」や「舟を編む」「風がつよく吹いている」が、
かなり好きです。

いろんなジャンルを書かれてるので、自分の中で「当たりハズレ」のふり幅が大きい小説家さんでもあります。

今回の「ののはな通信」、タイトルが好みじゃないけれど、
本の帯の「売り言葉」に気持ちがなびきました。
だって、「女子大河小説の最高峰」ですよ!
なにか壮大なものを感じるじゃないですか。

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女子高校生、”のの”と”はな”の往復書簡形式で、小説は進んでいきます。
時を経て、ふたりは40代となりますが、
二人の関係性は変わっても、互いを信じあう気持ちは変わることなく、
手紙やメールを、双方送り続けます。

初めから終わりまで、手紙、メールのやりとりのみの小説って、ちょっと息苦しいです。。
手紙って、凄く私的なものだから、二人の世界をのぞき見してるような感じになってくる。

時が経つにつれて変化する環境や気持ち、また変わらずに抱えてる思いなどを、
お互いの手紙やメールというツールでしか、汲み取ることが出来ないので、
歳を重ねるほど、そのやりとりは果てしないものとなる。

いつになったら、「女子大河小説の最高峰」とやらになるのだろう、と思いつつ読み進めるも、
この果てしない感じが、大河小説っぽいのだろうか、と、
読み終わった時に、ストンと腑に落ちたりもしました。

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とても我慢して、頑張って、最後まで読んだ気がします。

作家さんの渾身の小説を、あまり理解できなかったのは、絶対に読み手(わたし)の力不足です。

巷に溢れる膨大な書籍の中から、縁あって手に取ったものは、
「面白くなかった~」と、ひと言で済ませたくないのもあり、
どうにか、わたしなりにまとめた感想なのでした(汗)



by ukico32744 | 2018-11-05 18:30 | ある日の読書 | Trackback | Comments(8)