カテゴリ:ある日の読書( 96 )

ある日の読書『たゆたえども沈まず』

f0315332_17341379.jpg


たゆたえども沈まず  原田マハ


薄幸な画家フィンセント・ゴッホの生涯を、原田マハさんが、ドラマチックに風味付けをした
フィクション小説です。


..............................


去年の9月に、「ゴッホ展巡りゆく日本の夢」を観に行きましたが、
その展覧会の内容と、この小説は絶妙にシンクロしてると思いました。


..............................


ゴッホは、パリの画商の店で大量の浮世絵を目にして、ジャポニズムの世界に魅了されます。

オランダからパリに出て来てからのゴッホの作品は、浮世絵の構図や色彩の影響を色濃く受け、
後に、ゴッホを偉大な画家と称える作品を、身を削りながら、がむしゃらに描き続けます。

ゴッホの弟テオ、日本の美術商林忠正らに支えられ、ゴッホはギリギリの精神状態で
大作を生み出していくのですが。。


..............................

ゴッホが亡くなったのち、今度はゴッホの作品に魅せられた日本の画家たちが
ゴッホの聖地へと巡礼するさまは、ゴッホ展で学んだことです。

ゴッホと日本の深い縁は、時が経っても、”たゆたえども沈まず”なのですね。(^^;

ゴッホ展をご覧になったかたには、興味深く共感しながら、
しかも、わかりやすく、この小説の世界に浸ることができること、間違いないです。






[PR]
by ukico32744 | 2018-05-17 18:27 | ある日の読書 | Trackback | Comments(13)

ある日の読書『コンビニ人間』

f0315332_16535383.jpg


コンビニ人間  村田沙耶香


連休後半、北海道はスッキリしないお天気が続きました。

家の中で、ゆっくり過ごした方も、多いことでしょう。

あまり読む時間は取れなかったけれど、この本は薄いので、
GW中に、ちょうど読み終えました。


..............................


「コンビニ人間」は、2016年上半期の芥川賞を取った作品です。

こういう賞を取った作品は、集中的に図書館の予約が殺到します。

”すぐにでも読みたい興味深々もの”と、”いつかは読んでみたいもの”に分類すると、
自動的に、わたしの頭の中で「コンビニ人間」は、いつかは一度読んでみたいもの、と仕訳けられました💦

時は二年ほど経って、「いつか」と仕訳けられた「コンビニ人間」を
図書館の棚で発見します。

本と目が合うとは、このことです。

こういうふうに目が合って選んだ本が、面白かったりすると、とても嬉しくなりますね。


..............................


コンビニに18年間アルバイトしている、36才の未婚(彼氏歴なし)の女性が主人公です。

小さい時から、適応障害ぎみのところがあり、ものの考え方が、少しずれています。

そういう彼女が正社員として働く場などなく、コンビニアルバイトをし続けるうちに
18年が経ってしまいました。

彼女にとって、まさに「コンビニ」は、ヘンな自分から、
まっとうな自分へ変身できる、唯一無二な場所。
コンビニのマニュアルが、彼女に絶対な安心感をもたらします。
コンビニという小さい宇宙の中が彼女の全てで、
食べることも、寝ることも、翌日コンビニで働くためにあるようなもの。


ある日、コンビニのアルバイトをクビニなった、ヘンなことでは一枚上手の男子に、
コンビニ的な生き方を「恥ずかしいこと」だと、突き付けられ、、、、


..............................


著者の村田沙耶香さんも、賞を取った当時、週に三日コンビニで働いていたという人です。

村田さん自身が、主人公のモデルではないとしても、
村田さんのエッセンスの少しを、主人公に投影してるのではないかしら。

コンビニ小説?として、オモシロ可笑しく読めますが、
掘り下げると、現代社会のゆがみ、みたいなものを感じる、深い小説らしいです。

が、わたしは掘ったりしないで、ただただオモシロ可笑しく読ませていただきました。(^^;




[PR]
by ukico32744 | 2018-05-06 16:13 | ある日の読書 | Trackback

ある日の読書『表参道のセレブ犬とカバーニャ要塞の野良犬』

f0315332_16445079.jpg


表参道のセレブ犬とカバーニャ要塞の野良犬  若林正恭


若林正恭さんは、お笑いコンビ「オードリー」の、あの若林くんなのです。

近ごろは家電のCMで、杏ちゃんと仲良し夫婦役でお目にかかるだけで、
わたしは、あまり見てないけれど。

芸人さんが、マルチな活躍されてるパターンはけっこうあるのですけど、
執筆されてるなんて、チョー驚きでした。

これは2作目で、キューバをひとり旅した旅行記です。


..............................


2016年、マネージャーから、今年は夏休みが5日取れそうです。と云われ、
念願のキューバへ行けないかと、思ってみた若林くん。

スマホで羽田⇔ハバナ間の往復の空席を検索すると、なんと空席が1席。
これは「行け!」ということだと、迷いもなく即決ポチる。

わたしも、そのような状況であれば、ポチる。まずポチってみてからあれこれ思い悩むわ(笑)


...............................


旅で見るもの聞くものは、すべて格別なんだけど、そこに「出会った人」が加味されると、
面白味というスパイスが効いた、豊かで極上の旅になるね。

君は東京では「人見知り」「自意識過剰」という固いガードを身に付けてるけれど、
キューバでは、そんなもの必要ないしね。

キューバの君は、実にタフでナイスガイだったよね。

行きたいと願う情熱に蓋をしないで良かった。


..................................


芸人さんの書いたものだからさぁ。。って、読み始めると、ガツン‼ってパンチくらうよ(笑)

オレ流の旅の流儀を貫く、立派なトラベラーなのよ。


f0315332_18020634.jpg



この本を教えて下さったブロ友さんに感謝します。
しばらく更新されてませんが、お元気かしら。(^-^)







[PR]
by ukico32744 | 2018-04-27 18:45 | ある日の読書 | Trackback

ある日の読書『砂上』

f0315332_18042743.jpg


砂上  桜木紫乃


桜木紫乃さんは、北海道江別市在住の小説家です。
江別はわたしの住む町の隣り町です。
直木賞も受賞された人気作家さんと、イオンなんかでバッタリ会ったらどうしよう。。
ありそうで、なさそうな「たられば」。(^^;

..............................

舞台は江別市。主人公令央(れお)は江別駅前のビストロエドナで細々と働いている。
文章を書くことがだけが、自分の存在価値であるかのように、
情熱や野心を押し殺して、書きながら日々が淡々と鬱々と過ぎてゆく。

その主人公の前に、ひとりの女性編集者が現れる。
編集者は令央が出版社に投稿したものを全て読んでいた。
そして
「主体性のなさって、文章にでますよね」と。

冷徹な編集者が、令央の心の奥に眠っている何かに灯を付けた。

令央は、母が墓場へ持っていったある秘密を書く決心をする。

「読んだ人が本当かもしれないと思う嘘をつけ」

編集者は、とことん令央を追い詰めてゆく。


..............................


小説の背景は、隣り町江別。
ビストロエドナも実在するお店です。

タイトル「砂上」は、静岡の中田島砂丘のこと。
桜木さんが実際2回足を運んで、物語の核となる場所にしたという。

リアルとフィクションが混同して、主人公令央と桜木紫乃さんが重なって見えてくる。

これは私小説?

桜木さん自身が葛藤しながら物語を生み出す姿を、主人公玲央に投影しているんだ。
そう信じてしまう迫力が、この小説にはあるんです。

リアルな虚構のストーリーに、気持ち良く騙されながら、少しの間没頭しました。






[PR]
by ukico32744 | 2018-04-25 18:14 | ある日の読書 | Trackback | Comments(14)

ある日の読書『孤独のすすめ』

f0315332_18145179.jpg


孤独のすすめ 人生後半の生き方  五木寛之

元気な百歳老人。孫に囲まれる老後。
本当にそれだけが幸せでしょうか。
人生後半は十人十色。
人間は年を重ね「成熟」し、孤独だからこそ豊かに生きられる。
上手な人生の減速=シフトダウンのための必読書。


..................................


日々お年寄りに接する仕事をしていると、自分の老後に思いを馳せる機会は多いです。

そんな中、何気にタイトルに惹かれて、図書館から借りてきました。

シフトダウンかぁ。。。

抑揚のない単調な人生を送っているわたしには、シフトダウンの時期が解りかねます💦


年を取ることは登山に例えると下山で、登るより下山の方が難しい。
だけど、見晴らしがいいのだ。

この文章には「そだねー」と共感しました。

年を重ねると、広角にものが見えるようになったのは確か。
見晴らしのいい場所に立っているのかも、と思う。

若い時の自分の価値観が全てと思ってた傲慢さは、
例えば、山を登る時の必死の形相だったのだと、
今にして気付いたりして。


......................................



f0315332_19221513.jpg


ピラティスに着るウェア(ボトムス)が欲しくて、
札幌駅周辺のお店をウロウロ

ひとりランチは大丸デパートの「茶語」にする。

狭い店内、ワタシの座ったテーブル周りは女子二人連れが3組。

ひとりのワタシを囲むように、3組のとりとめのない女子トークが繰り広げられる。

女子って、いっぱい話すことがあるよねー。

わたしのバッグの中には「孤独のすすめ」が入っていたのだけど、
この場所で、今この本を出すわけにいかぬ、と強く思う。(笑)

黒酢麺をズルズルすすりながら、耳から耳へと、女子トークを聞き流すのでした。

ピラティスのウエアはいろいろ回って、結局ユニクロのエアリズムワイドテーパードパンツにしました。
いつも、けっきょくユニクロになっちゃうのよぅ。







[PR]
by ukico32744 | 2018-04-20 19:49 | ある日の読書 | Trackback | Comments(22)

ある日の読書『海馬の尻尾』

f0315332_17064784.jpg

海馬の尻尾  荻原 浩


タイトルから、ストーリーがまったく想像できないのですけど、
「海馬」とは、脳の器官のひとつで、記憶や学習能力に関わる器官だそうです。


主人公はアルコール依存症のヤクザ。
恐怖の概念が自他ともに薄く、良心のかけらもない「反社会性パーソナリティ障害」と診断される。

恐怖心、良心とも無い人なので、とにかく攻撃的で破滅型。
組の頭(カシラ)からも、クレージーぶりを指摘されるほど。

この障害を治すために病院施設に収容されるのは、表向きの理由で、
実は追手から身を隠すためのものだった。

.......................................


前半は、アウトレイジさながらの暴力シーンが、次々飛び出して、読む気が失せるけれど、
荻原浩さんの書く小説には、奇抜などんでん返しがあると信じて読み進む。

荻原浩さん、いろんなジャンルの小説をお書きになってますが、
わたしは、このかたのアットホーム的な小説ばかり読んでいたので、
この小説のストーリーには度肝を抜かれました。


.......................................


一目見て「極道」だとわかる主人公には、誰一人寄りつく者がいないし、
寄り付かせないオーラをギンギンに出しているので、
心を許せる相手など、ひとりもいない。

そんな彼の前に、染色体異常の「ウィリアムズ症候群」の、小さな女の子が現れる。
主人公とは別な意味で「恐怖の概念」がなく、他人への共感度が高いがゆえに、偏見や警戒心が希薄。

彼は収容所で、初めて心を許せる人に出合う。


........................................


ラスト、こうなってほしいと願うことが、裏切られる。

すっごく怖いけど、すこし可笑しく、そして悲しい小説でした。



~おまけ~

f0315332_18042024.jpg


sakaeさん、パイの実シロノワール味、見つけましたよ! (^-^)


[PR]
by ukico32744 | 2018-04-17 18:08 | ある日の読書 | Trackback | Comments(16)

ある日の読書『BUTTER』

f0315332_16530409.jpg


BUTTER  柚木 麻子


本の帯に、書いてある通りです。

読み進むほどに濃厚な味が広がる、圧倒的な長編小説

濃厚すぎて、胃もたれしそう。(笑)

読んでも読んでも終わらないような、果ての無い小説に思えてくるのが不思議。

一週間、本と格闘しました。

読了感は、ソース過剰なフランス料理と、オリーブオイルたっぷりなイタリア料理を
間髪入れず食べ続けたような気分。

もう、お腹いっぱいになりましたー。


................................


何年か前にあった、木嶋佳苗事件をご存じでしょうか。

その事件をモチーフに書かれたものですが、
まったく別物のオリジナルストーリーです。

獄中にいながらにして、人を操ることに、ただならぬ才能を発揮する犯人梶井真奈子。通称カジマナ。

獄中から、思いっきり悪のオーラを放つカジマナに、
マインドコントロールされたように翻弄される女性たち。

ストーリーは面白いと思うのだけど、休み休み読まないと、
毒気に当てられてわたしの神経もやられそうです💦


....................................


当の木嶋佳苗被告も、「BUTTER」を読んで、
木嶋のblogの中で、作者の柚木麻子さんをコテンパンに罵倒してるみたいです。

へぇーー、獄中からでもblogって、発信できるものなんですね。

何処にいてもどんな状況においても、オーラを放し続ける人って、
ある意味人間離れしてて、ホラーを感じます。





[PR]
by ukico32744 | 2018-04-06 17:52 | ある日の読書 | Trackback

ある日の読書『奇跡の人』

f0315332_15190545.jpg

奇跡の人  原田マハ
The Miracle Worker


奇跡の人で思い出すのは、ヘレン・ケラーの自伝物語です。

小学生のころ読んだ、ヘレン・ケラーのお話は衝撃的でした。

目も見えず、耳も聞こえず、話すこともできない真っ暗な”闇”を想像するだけで、
子供心に、とんでもない恐怖を感じ、
そしてまた、それを乗り越えて、立派な人となったヘレン・ケラーとサリバン先生に、
深く心を打たれたのでした。

まだ「尊敬」という言葉も知らないころに、初めて「頭が下がる思い」を感じたのは
何を隠そう、ヘレン・ケラーとサリバン先生です。



原田マハさんの書いた「奇跡の人」は、日本版「奇跡の人」と言って間違いないのですが、
既に知っている物語以上に、フィクションの意外性が加味されて、
ドラマティックなお話になってます。

頃は明治時代。舞台は青森の弘前と金木町。

三味線引きの貧しい旅芸人の盲目の少女。
死者の霊を下す「イタコ」と呼ばれるの盲目の巫女。

目の見えぬ人たちが、感性を研ぎ澄ませて、密かに生きる術をもつ土地。

青森が持つ独特の風土が、この物語の大前提となり、
日本版「奇跡の人」というより、別物として深く読み入ることが出来ました。




[PR]
by ukico32744 | 2018-03-26 18:18 | ある日の読書 | Trackback | Comments(12)

ある日の読書『おらおらでひとりいぐも』

f0315332_18000504.jpg


おらおらでひとりいぐも  若竹千佐子


今年2月に芥川賞を取ったこの作品、ハイペースで売れてるようで、重版出来!の作品らしいです。

気長に待つつもりで、とりあえず図書館に予約する。

何人待ちだったか忘れたけれど、けっこう早く手元に届きました。

人気本は、冊数も多いので、”あっ!、もう来た!”ということが、たまにあったりします。



主人公桃子さん(74才)のネイティブ東北弁の語り口調で、物語は進んでいく。

両親が秋田出身なので、東北弁には馴染みがあるけれど、
東北弁を目で読むのは難しい。

いっそ、抑揚豊かに朗読してくれると、感情移入できるのに~。とも思ったりする。

でも、イートハーブ岩手の世界へどんぶりこまでには、そんなに時間がかかりません。

桃子さんという人、興味深い人です。


f0315332_18201543.jpg


「おらおらでひとりいぐも」 は、
「わたしはわたしで、ひとりで行きます」という意味。

宮沢賢治のお話の中に、このフレーズがあるらしいです。





[PR]
by ukico32744 | 2018-03-23 18:34 | ある日の読書 | Trackback

ある日の読書『美しいものを見に行くツアー ひとり参加』

f0315332_15193930.jpg

美しいものを見に行くツアー ひとり参加  益田ミリ

本の後ろにある絵は、娘が数年前にドイツのクリスマス市で買ってきてくれたもの。

今回読んだこの本の中にも、夢のような美しいドイツのクリスマス市のことを書いた一節がありました。




先日の静岡旅は、この本をバックに入れました。

図書館に予約してあったこの本が、旅行前に取り置きメールが届きました。

単行本だけど、一センチほどの厚さ。
旅の最中に読み切れるような、ページ数も内容も、ほどよい軽さです。

旅は好きだけど、旅先であまり熟睡できないほうなので、
本があると助かります。

ベッドに入って本を読みながら眠くなる。。
そんなふうにウトウトするのがサイコー♪



益田ミリさんはイラストレーターでもあり、エッセイスト。

わたしは彼女の「ちょっこそこまでひとり旅だれかと旅」や、
「47都道府県女ひとりで行ってみよう」など、旅のエッセイが好きです。

「美しいもの見に行くツアー ひとり参加」は最新の著書で、
本やテレビで目にした、世界の美しいものを、
安全安心なツアー旅行のひとり参加で見に行ったことを書いたエッセーです。

チャレンジとかアグレッシブとかの言葉は似合わない、ミリさん。

自分の出来そうな枠の中で、自由に最大限に楽しむという緩めな感じが、現実的で好ましい。

この本の中に書かれてある、行った先は
北欧、フランス、ドイツ、ブラジル、台湾。

おひとりさま参加として、ツアーの中に順応して溶け込んでいく様子と、
時にはひとりで自由に羽を伸ばす様子が、
文章とイラストからほのぼの伝わってきて、
なんか、いいなぁ。。。と憧れる気持ちが増殖してきました。




旅をしながら旅の本を読むのは、イメージが広がって、なかなか良いものですねー♪



[PR]
by ukico32744 | 2018-03-15 16:10 | ある日の読書 | Trackback | Comments(12)